第9回

年忘れ! イギリスのStrictly 『CM』談笑選手権

*2006-2007年 英国のfree週刊紙「UK JACK」にて掲載されたものです。写真は一部加工されています。

TVと共に育ち独自文化を築いたのがCM。

世に数多のCM大賞がある様に、CMはその創作力や美的インパクトを競うだけでなく、

制作された国のキャラも垣間みる事のできるメディアに成長した。 

今回はこの国のTV-CMに注目。

今年を振り返り「これぞイギリス的優秀CM」をテレビッコ的視点で幾つか挙げてみた。

まずは「ビジュアルインパクト+ストーリー性」を数十秒間で表現というCMの王道的優秀作。

それは間違いなくNicole Kidman主演のシャネルのCM。

とにかく美しい。

まるで短編映画のような展開と彼女の演技を活かした秀作。

また、氷上で車がロボットに変身しアイススケートをするCM、

スピード感とクールさを同時にアピールしていて、発想力とCGクオリティの高さを評価したい。

が、残念ながら両者とも「イギリス的」という主題に欠ける。

シャネルはパリもの、車がロボットに変身というのはどうも“ジャパニメ”(日本アニメ)の影がちらつく。

では、「イギリス的」車のCM優秀作は?

嘘発見機を使って格安価格が本当か否かをチェックする作品。

冷静沈着な夫婦がディーラーと交わす会話と“落ち”が実にユニーク。

「(映画)タイタニックで泣いた?=NO」という答えは嘘と判明。

ディーラーは「YES」と答え直す。

「では、この車の価格がXXなのは事実?」との問いに「YES」。

嘘発見機に反応なしという逆説的アピールCMの王道。

何が「イギリス的」かって、夫婦が素直に驚く前にまず機械の故障ではと確認するひねくれ具合。

その皮肉さに冷笑。

風刺文化の国としての秀作は、

政府CM「David カメレオン」カルチャークラブのヒット曲に合わせて色を変えながら

自転車をこぎまくるカメレオンDavidには感服。

総観してこの国のテレビCMは直球、過激との印象が強い。

「若者の飲酒防止」「車の事故防止」CMの結末のショッキングな事。

直球&過激で笑える秀作は、制汗スプレーのCM。

脇から滝の様に汗が吹き出るが、ある制汗スプレー1発で解消。

或は、ゴルフの試合でナイスショット、選手が両手を挙げ喜んだ瞬間、観客&スカンク共にぶっ倒れる。

そこまで臭いのか?と苦笑。

そんな直球・過激・皮肉入り交じりの英国CM。

テレビッコ的優秀作はある洗剤のCM。

ガキの白シャツを汚しまくった後、洗剤を溶かした容器に半分浸すと

「ほ〜らこの通り」と半シャツ部分が輝く白さに。

それはまるで黒も白くしますと言わんが如き白さ。

この国にJARO(日本広告審査機構)は無いのかと思ったが

ここまで白を切り通す直球作品にテレビッコCM大賞を伝授したい。

注)もちろんこの国にもテレビCMに関する審査機構があり、独自の判断基準を持っております。

/*2006-2007年の情報です。

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