第8回

ホストは強いよ『Friday Night with Jonathan Ross』

*2006-2007年 英国のfree週刊紙「UK JACK」にて掲載されたものです。写真は一部加工されています。

番組タイトルにホスト(司会者)の名前が入る。俗に言う“冠番組”。

『Friday Night with Jonathan Ross』は正にその代表格。

歌あり、トークあり、笑いあり、バラエティトークショーの王道的番組だ。

彼のゲストに対する歯に衣着せぬ物言いは壷を心得ていてニヤリとさせられる。

斜に構えるキャラの若い歌手がポツリとしか言葉を発せず、

Jonathan Rossの方が長くしゃべり、遂にはチラリと若者らしさを引きずりだした後、

その歌手は元キャラで歌って帰った。

なんて場面もあった。

ゲストに応じて攻め方を変えるあたり、熟練ホストの度量が伺える。

ゲストを呼び込む時のコーラス隊演出は気持ち古めかしさを感じたが、それすらジョークのネタに組み込む。

もはやJonathan Rossスタイルは確固不抜。

ただ座って話すだけじゃない、ゴージャスなトークショーとの印象に変えてくれる。

ところで、番組に“冠”がつくのとつかないのでは大きな違いがある。

日本ではよく駆け出しのコメディアンが「夢はゴールデンで“冠番組”持つ事です!」とか

「やっと“冠番組”持ちましたわ〜」なんて照れ笑いする。

某事務所では超一級の所属タレントがメインをつとめる場合、番組への“冠付け”が出演条件だったりする。

なぜそれほど“冠”にこだわるのか。

勿論“冠”がつくことで視聴者はそのホストを番組の顔として認識するし、

大抵は人気者か知られた名前だから 番組のカラーが解りやすくなる。

例えば、『Friday Night Talk Show』より

『Friday Night with Jonathan Ross 』の方が断然内容が想像しやすいし、期待度も高まるだろう。

Jonathan Ross級だと、「彼がホストだから出演しましょう」という大物ゲストもいるはず。

とまぁ、“冠番組”を持つという事は、TVでそれなりの地位を確保してますという枕詞だったりもするのだ。

とは言え、番組に名前が入る以上、負の強さに責任をもつ覚悟も必要だ。

かつて日本で筑紫哲也さんがTBSの報道失態発覚を受け、NEWS23からの退任を訴えた。

自分の番組内の不祥事で無くとも、報道違反をした局で“冠番組”のメインをつとめることは

ジャーナリストとして道理に外れると自戒されたのだろう。

そんな重みも“冠番組”にはある。

『Friday Night-』にDavid Cameronが出演した際、

『その物言いはなんだ』と視聴者からちょっとした苦情がきたようだが、

番組のキャラクター、放送歴と時間帯(夜10時以降)を考えればユーモアの一環と解るし、

当のDavidはむしろもう一度出演したいと言ったとか。

これも一重に彼がラジオ時代から築き上げた番組ホストとしての実績の証。

冠ホストは色んな意味で強いんだな。

*2006-2007年の情報です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Twitter
Pinterest