第7回

「スター誕生」✖️「のど自慢」=『The X Facter』

*2006-2007年 英国のfree週刊紙「UK JACK」にて掲載されたものです。写真は一部加工されています。

素人のカラオケ番組が何故こんなにウケる?

先頃発表されたthe National Television AwardsのMost Popular Entertainment Programmeに

ITVの『the X Factor』が選ばれた。

『X Factor』の根本は素人による公開オーディション兼のど自慢大会。

構成はSimon, Louis, Sharonといった音楽業界で名のある3巨頭の暫定お墨付き候補者が

グランプリを目指すという“逆「スター誕生」”パターン。

つまり玄人筋のフダが上がっている状態からスタートしている。

(「スター誕生」では、レコード会社などが契約交渉の余地ありとみたら、

歌い終わった人に対して社名の札が上がったのです。知らない人はパパやママに聞いてね)

現『X factor』は、シリーズ放送前からITVが視聴率獲得の為「力入れます!」

と宣言していただけあってのど自慢どころの騒ぎではない。

「お金かかってます」と言わんばかりの豪華セット。

ピカピカライト前でのカメラ目線ショット+熱唱カットというプロモーションビデオ並みの候補者紹介シーン。

さくらか?と思わんばかりの異常な観客の盛り上がり様。

候補者のプチドキュメントを挟み見る者を惹き付ける再現ドラマまで用意している。

いざ歌いだすとメローな曲にはスモーク演出。

風を受けて歌うこともある。

日本で風を受けながら歌う姿が似合ったのは、一頃の安室ちゃんか来日した時のビヨンセくらいか。

しかし、『X Factor』 で歌ってるいのはちょっとのどに自慢がある素人達ですよ。

しかも曲目は殆ど懐メロ。

一方で、42年も続いたプロの歌手による歌番組『the Top of Pops』が今年その歴史に幕を下ろした。

視聴率低迷が要因の一つと言われている。

テレビッコが日本にいた頃もNHKはさておき、

東京民放で純粋な歌番組と言われて思い出すのはテレビ朝日の「ミュージックステーション」や

フジテレビの「ミュージックフェアー」位だろうか。

「演歌の花道」(テレビ東京)もすでに終了したらしい。

他の番組は歌番組というより、トークコーナーやゲームコーナーも含めた歌謡バラエティ色が強くなっていた。

ここに『X Factor』人気のからくりアリ。

テレビが誕生して早半世紀以上。

もはやシンプルな歌番組では皆さん物足りないのでは?

余程プラスαの楽しみが無い限り、TVというフィルターがかかったプロの歌を聞くより、

直接お気に入りの歌手のLIVEを観た方がずっと興奮できる。

その点『X Factor』は、一緒に口ずさみながら「この子いい。あの子はどうなる?」とお茶の間で楽しめる。

イギリスが今どの世代のどんなキャラのスターを求めているのか?

それを占う意味でも今後の『X Factor』は見逃せない。

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