第18回

『Ugly Betty』から解くNew Wave

*2006-2007年 英国のfree週刊紙「UK JACK」にて掲載されたものです。写真は一部加工されています。

『Ugly Betty』?今更何言うのさ?

エピソードも終盤にさしかかろうというドラマに文句なんぞございません。

ポップです。

キュートです。

出演者、ゴージャスです。

超アメリカ〜ン。

内容、わっかり易〜い。

ルックスのみイケてないBettyは、自分の外見を卑下する事なく毎回頑張ってます。

設定さながら、一流雑誌から飛び出たようなファッショナブルな同僚達に囲まれて。

回を追うごとに秘書として、社会人として成長してます。

日本のヒットコミックをドラマ化したような、それ以上に上出来。

「全米No.1ヒットコメディドラマ遂に放送!」とのフレーズでした。

この宣伝を見たテレビッコ、「英国がコメディを輸入するとは」という反省すべき狭き了見から

『Ugly Betty』の驚異に目を逸らしていた。

が、Golden Globe Awardダブル受賞(最優秀作品・主演女優/TV series-Musical or Comedy部門)となると話は別。

Avril Lavigneの最新ミュージック・ビデオにもBetty風少女登場。

ここまでブームとは!これは捨て置けない。

慌ててBettyを隈無く見た。

そんな折り、ラテン文化と映画の教鞭を執る教授が言った「シズカ、メキシコの次はコロンビアがくるよ」。

確かに今Hollywoodはメキシコブーム。

映画『BABEL』他、メキシカン監督の好評ぶりを見れば解る。

『Ugly Betty』のプロデューサーもメキシコ出身女優Salma Hayek。

で、どこにコロンビアが?

不覚にもBetty研究で教授の言葉の点と線が繋がった。

賢明なるTV視聴者の方なら最早ご存知だろう。

そもそも『Ugly Betty』はコロンビアのFernando Gaitanが書いた小説を元に同国でTVドラマ化され、米版が作られた。

よく『The Devil Wears Prada [プラダを着た悪魔]』と比較されるが、元ネタの小説は別物。

『The Devil-』はアメリカの小説だ。

コロンビアの『Ugly Betty』 は母国で視聴率50%越え。

コロンビア大統領の演説にも引用され、Bettyグッズ売れまくり。

Bettyそっくりさんコンテストまで開かれる盛況ぶりだとか。

これが日本なら太眉+赤ぶち眼鏡&前髪べったりロングヘアの女子高生が渋谷を占拠しているだろう。

コロンビア版Bettyは日本にも輸出されたらしい。

ただ、その日本語タイトルがちょっと…「ベティ〜愛と裏切りの秘書室」。

サスペンス2時間ドラマをイメージしてしまった…もう少し、どうにか…。

さておき、米版『Ugly Betty』は確実に北米&ヨーロッパを席巻中。

そんな超ド級ヒットドラマを生み出したのがコロンビアだ。

「良き原作・脚本あっての良き作品」と考えるなら、

教授の言う通りコロンビアにはNew Waveを起こすブームの金鉱がまだ潜んでいるのかも。 

ところで、外見がイケてないから「Ugly」と表現するの、世界的にもう止めませんこと?

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