第11回

君の心に疑問はあるか 『Question Time』

*2006-2007年 英国のfree週刊紙「UK JACK」にて掲載されていたものです。写真は一部加工されています。

『Question Time』は今年で放送28年目を迎える観客参加型討論番組。

お硬い政治談義ばかりと思ったらとんでもない。

そのテーマは多岐に渡り、

過去にはアメリカ大統領選がらみのスペシャルバージョンで

ブッシュ大統領の天敵(?)Michael Moore監督もパネラーとして出演した事がある。

時の話題(勿論政治よりだが)を中心に、

その出来事に関連深いパネラーを呼び、観客と共に討論を交わす。

たまに英国ジョークも入る。

テレビッコは当初、『朝まで生テレビ』感覚でこの番組を見ようとしていた。

が、Debateの本場・英国で言う所の討論とはこう言う事なのかと目からウロコが落ちた。

それは決して相手を“言い負かす”のではなく、真に疑問をぶつけ、熟慮し、問題の本質や解決の道を探るのだ。

例えば『朝までー』だと、あるテーマに対し、

賛成派vs反対派に別れ、己の主張を曲げる事無く貫き通す。

そこへ田原総一朗氏が割って入り、適当と思われる相手に

「この意見に対するあなたの主張は?」とさらなる舌戦を煽る。

視聴率至上主義のニッポンのTVを見て育ったテレビッコは

その言い合い合戦を面白おかしく見ていた。

何の疑問も持たず。

『Question-』を見て反省した。

この番組の観客は皆、疑問と意見を持っている。

市民の疑問に答えるのがコンセプトの番組故、当たり前ちゃぁ当たり前。

しかし観客の気合いの入れようはスゴい。

例えば、動物実験がテーマの際、

ある女子学生はちゃんとデータを調べ上げ

「この数字を見る限りあなたの主張やマスコミの論議は的を射ていないのでは?」

などど、理路整然と質問する。

果たして彼女と同じ年齢の頃、テレビッコは同様にマスコミの議論に疑問を持てたであろうかと。

さらに言えば、『Question-』は『朝まで-』よりもしろ『ビートたけしのTVタックル』に似た要素があると思う。

それは相手に対する“寛容”。

「大竹まことの発言にハマコー激怒」なんてシーンで、

たけしさんが「ハマコーさん、それ、結局大竹さんと同じ事言ってるよ」なんて指摘して笑いを誘う。

すると「あれ?そうか」とハマコー照れ笑い。

つまり、何が何でも相手を言い負かそうとするのではなく、同意できるなら耳を傾けるという“寛容”な姿勢だ。

『Question-』でも似たようなパネラー同士の“寛容”に出会う。

「基本的には反対意見だが、その部分は納得できる」と言った具合。

そもそも世の中、白か黒だけで処理できる訳がなく、“寛容”と言う名のグレイゾーンも必要ではなかろうか。

だって白か黒だけで裁けるならこの世はもっとLOVE&PEACEなはずだから。

*2006-2007年の情報です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Twitter
Pinterest