第12回

見え過ぎちゃった 『Celebrity Big Brother』

*2006-2007年 英国のfree週刊紙「UK JACK」にて掲載されていたものです。写真は一部加工されています。

遂にやっちゃった&やっぱりねの二言。

人種差別的言動で大騒動を起こし先月28日、半ば打ち切り状態で強引に終了した『Celebrity Big Brother』。

騒動の幕引きは勿論、主要スポンサーを失った番組は予算的にも存続不可能だったのだろう。

そもそもスポンサーの目的はイメージUP。

騒動で一瞬注目が集まっても、企業はキズ物の番組に投資等しない。

そして最終回はこの国の建前を象徴するかのように、Bollywood Star Shilpaを勝者に仕立て上げた。

LIVEと銘打っていたがテレビッコから見れば疑似生だったのは一目瞭然。

疑似生とはLIVE収録した後、少し時間をずらして放送する手法。

追放者がHouseを出る時一時的に無音になった。

直前に収録した映像でこりゃやばい!という所をピー音の代わりに無音にしたのだろう。

テレビッコは予てより『Big Brother』のピー音連発に嫌悪感があった。

日本では随分前にゴールデン(英国で言うPrimetime)番組のピー音の多さに

「放送できない位なら流すな」との苦情が殺到し、深夜番組以外はピー音削減に努めていたから。

しかし前シリーズでPeteが勝者になった時など、

興奮の余り放送禁止用語と共に転げ回り、まともに椅子に座る事すらできず、インタビューはピー音だらけ。

それが英国の若者の「今」だった。

ニュースで若者の素行の悪さが取り上げられる一方、

『B-B』 はその極みを映し出し若者層の支持を得ていた。

今回の騒動もいつ起きてもおかしくない状況だった。

だって火元は「セレブとしてHouseに戻ったわ」という『B-B』 出身のJade。

英国の若者代表がこの国の本音を暴露したのだ。

Teenager向け番組はある意味現実の若者の合わせ鏡だ。

テレビッコが女子高生だった時、

アバン・ギャルドな友人が大和撫子的校則ギリラインの姿で登校し

「何ですか!そのTVの真似みたいな格好は」と教師が諭したのに対し

「違うわよ先生。TVが私達の真似してるのよ」と彼女は言って退けた。

ズバリ!その通り。

キー局で番組を編成しているのはいい歳の大人達。

10代向け番組を企画する時、リサーチャーを使い

「今の若者の関心事は?」

「若者受けするのは誰?」

と会議室でう〜んと唸りながらキャスティングする。

従って彼女の意見は正解で、TVは実は現実の若者を描いているに過ぎない。

『B-B』然りだが、シリーズを重ねる内にネタ切れしセレブに手を出した結果、

B-B Houseは「若者の御殿」から「英国の縮図伏魔殿」と化した。

編集可能な番組なのに本音を丸ごと放送されたJadeは一人断頭台に上げられ涙ながらに民放各局でお詫び行脚。

これ程「本音と建前」を見事に放送してくれた番組も珍しい。

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