第13回

大人がマジで遊んでます。『Top Gear』

*2006-2007年 英国のfree週刊紙「UK JACK」にて掲載されていたものです。写真は一部加工されています。

パラダイスからのご帰還!?とばかりに華々しく、

危うく命を落としかねなかったジェットカー事故より復帰のRichard Hammondを呼び込み

スタートした現シリーズの『Top Gear』。

車番組、車雑誌と言えば大抵男性向けと据え置かれるが『Top Gear』は別格。

さして車の技術面に興味はないテレビッコもこの番組の“マジ度数”の高さに毎回うっとりする。

まず車紹介の“マジ度”は素晴らしい。

たった一種の車を紹介するのに壮大なカット数を費やす。

前から後ろから、中から外から木陰から、果ては地平線から車がやってくる。

どのショットもちゃんと車に視線がいくよう撮影、

画面にも効果をかけて編集するという細やかさにため息がでる。

これ程車を美しく魅せてくれるとは。

ゲストによるタイムレースも“マジ度数”が高い。

俳優のHugh Grantが出演した時は「Ewan McGregorよりは上にいきたいな〜」とか、

英国出身の現役F1ドライバーJenson Buttonが出演した時も、

納得のいかない走りに「撮影日がとても寒かった。

気温が低いとマシーンへの負担が大きくてスピードがでないんだ」などと懸命に言い訳する。

『Top Gear』で高タイムを出す事はもはやゲストにとっても死活問題なのだ。

極みは、Jeremy、James、Richardという3人の車大好き大人と番組スタッフの遊び心の“マジ度”だ。

毎回3人がそれぞれの個性にあった車を選び、番組の指令にマジで取り組む。

ある時は車をボートに改造し池横断。

勿論水没車あり。

夏のキャンプ季節では「狭い車での寝泊まりの何が楽しい」と

Jeremyが文句を言いながらも車キャンプを試みるが、やはり落ちはキャンプ・カー炎上。

とにかく車を使ってハチャメチャに遊び尽くさないと納まらない。

トラック野郎に扮しライブ終了後の高価な音楽機材運びもした。

が、「え?それだけ?何もぶっ壊してないぞ」と思ったら案の定、

おじ様達はスタジオで反省しきりに直立し「えー、プロデューサーからこれではつまらない。

番組にならんと叱られましてロケをし直しました」と言って始まったのは、

「トラック運送と言えばお引っ越し」という事で高価なアンティーク家具を含めた運送レース開始。

やってくれました。

鏡が割れようが、ランプがトランク内で宙を舞おうがスピード命。

いつもの様に3人はトラックで遊び放題。

『Top Gear』は出演者もスタッフも心底車で遊ぶ事が好きなのだろう。

これぞ大人の遊び方ではなかろうか。

どんなに仕事で疲れても、遊ぶ時は本気で遊び尽くす。

その為のお金に糸目は付けない。

やっぱり大人がマジで遊ぶならGearはTopでなくっちゃね。

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