第5回

そんなにスゴいのか! BBC『Breakfast』

*2006-2007年 英国のfree週刊紙「UK JACK」にて掲載されたものです。写真は一部加工されています。

ブレア首相は『Breakfast』ファンなのか!?

首相がTV番組でインタビューに答える。

ごく普通の事。

しかし、降りしきる雨の中、自ら黒傘を持ち10 Downing St. の前で

BBC朝の定番『Breakfast』に登場。

しかもその右手には番組のトレードマークであるロゴ入りマグカップ。

となれば事情は違ってくる。

その様を見たテレビッコの第一印象は「首相〜かわいそう〜」誰か傘だけでも持ってあげようよ。

だって首相だよ。

BBCは日本のNHKにあたる天下の公共放送、“英国放送協会”。

首相が国民に生の声を送る手段として真っ先に使う放送局だ。

日本でも首相が早朝から官邸内外でTVの生インタビューに答えるのは最早おなじみ。

それにしても、その日のブレア首相の『Breakfast』出演は余りにも妙だった。

キャスターは明るいスタジオから国内外の政策について突っ込み質問。

一方、ブレア首相はまるで番組レポーターのごとき様相。

カメラもしっかり首相が持つ『Breakfast』 マグが入るサイズを終止キープしていた。

真面目な討論を交わしても、見た目のインパクトの強さは免れないのがTVのスゴさ。

案の定、夕刊紙に黒傘で地上に降り立つメリー・ポピンズとかけて “PM Poppins”と茶化されていた。

ところで、BBC『Breakfast』のスゴさは数字(視聴率)の上では立証済み。

同時間帯ITV朝の定番『GMTV』の今年度上半期の平均視聴率が27.8%だったのに対し、

『Breakfast』は28.1%(Barb調べ)と常にリード。

『GMTV』だって頑張っている。

“突撃!隣の晩ご飯”よろしく、

賞金Checkの特大レプリカを担いで早朝お宅訪問なんていう名物コーナーがあったりして庶民的。

とはいえ、BBCのグローバルなネットワーク力や、

ゲストの大物さ加減を見るとやはり『Breakfast』に軍配をあげざるを得ない。

何しろマドンナがマラウイの男児を養子縁組とのニュースで

軽々とアフリカから衛星生中継してしまう。

議論の的である話題だけに他局も現地リポートをしていたが、

録画レポートと衛星生中継ではお金と人手のかかり具合が桁違い。

公共放送たるBBCの底力をひしひしと感じる。

さて、例のブレア首相の黒傘&マグカップ演出。

突然雨が降ってきてしまった偶然の産物か、番組ディレクターの要望か、

はたまたブレア首相の人柄によるものか。

万が一、ブレア首相のフランクさをアピールしようとの番組サイドとブレア首相との意図的な演出だったとしたら…

なんとも兵ぞろい。

日本ではやっとパフォーマンス好きだった元小泉首相のおかげで

TVはイメージ戦略の最たるものと認識されたが、

もはや英・米では当たり前の事。

果たして真相やいかに?

*2006-2007年の情報です。

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