第22回

『Doctor Who』 時をかける水戸黄門

*2006-2007年 英国のfree週刊紙「UKJACK」にて掲載されていたものです。写真は一部加工されています。

英国のTVドラマ史上はずせない番組がある。

『Doctor Who』である。

新コンパニオンを迎えて始まった現シリーズは、

以前よりCG, SFXの質やエピソードの充実度も高く楽しめたように思う。

何しろ去年、真っ昼間のライティングの中、

着ぐるみモロバレな銀色ロボット隊の行進を見た時は、

「なんて子供だましな」と思った。

しかし、こうしてシリーズごとの話題を44年間もお茶の間に提供している所に『Doctor Who』 のスゴさがある。

先月 Channel 4で放送されたコメディアンが選ぶお気に入りTV番組集には毎回登場。

BBC 『Sunday AM』でおなじみの Andrew Marrが振り返る戦後英国史の番組にも登場した。

『Doctor Who』 はもはや英国TV史を代表する番組の1つなのだ。

現在のDoctorは10代目らしい。

映画「007」のJames Bondの様に、

 「何代目のDoctorがよかった?」

 「僕は4代目Doctorを見て育った」

そう言った会話が、世代を超えて1つの番組で交わされる。

それはまるで日本の『水戸黄門』ではないか、とテレビッコは思った。

もちろん『Doctor-』と『水戸黄門』には SFと時代劇という大きなジャンルの違いがある。

加えて水戸黄門は、古くは幕末・講談師、その後は時代劇映画の定番だったという歴史的な違いもある。

但しTVドラマに限って言えば、

共にTVが茶の間の娯楽の中心となった1960年代から21世紀の現在も紆余曲折はあれ、

プライムタイムの看板としてその場所を確保しているのだ。

これ程長く人々に愛されるのは、制作陣による時代に合わせたストーリー構成もあるが、

見る者がもつ普遍的な「理想のヒーロー像」とか、

「理想の上司像」といった要素が強いからではないだろうか。

今時TARDISなるPolice Boxの中にDoctorの秘密基地があると信じる子供はいないかもしれない。

紋所付きの印籠を持ち歩くご老人もほとんどいないだろう。

現実味はなくとも両番組が提供する「お約束たっぷりの内容」を視聴者は求める。

インターネットでTVを見る時代になろうとも、

こういう世代を超えて語れる番組は文化史に残るだろうし、

ぜひ生き残って欲しい。 

さて、ほぼ1年弱連載された「英国TV研究所」は今回で終了です。

無事?映画学のマスター過程を終えた小生はテレビッコからシネマッコになるべく映画産業へ突入します。

とは言えテレビッコ精神は無くさず、不肖ホストを務めたトーク番組がいよいよ6月29日より放送開始となりました。

詳細は下記HPにてご覧下さい。

TVでも映画でも私の映像愛は永久不滅です。

読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。

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