『The Weakest Link』評価主義社会の恐怖ココにあり
「You are the Weakest Link, goodbye!」
恐ろしいフレーズだ。
おなじみBBCのクイズ・ゲーム番組『The Weakest Link』で
司会者Anne Robinsonが脱落者を送り出す時の決め台詞。
それはまるで水戸黄門の格さんが「この紋所が目に入らぬかー!!」と
最終兵器の印籠披露に値する、はは〜とひれ伏す以外ない威力を持つ。
『The Weakest Link』を単なる賞金稼ぎのクイズ番組と侮るなかれ。
世界各国で放送され、英国では昨年12月に放送回数1000回を超えた強靭な持続力を持つ番組。
しかもゲーム内容が超熾烈。
毎回9人の参加者がクイズに答え、正解ならお金加算。
でも次の人が「Bank!」と叫ばない限り不正解が出たとたんそのお金はパー。
つまりクイズに答えている間、参加者は協力してお金を貯めねばならない。
しかし!ラウンドごとに1人ずつ不必要と思われる人物を抹殺していき、最終的な勝者は1人というゲーム。
弱肉強食+評価主義そのものだ。
何しろ抹殺者を決めるのは参加者による投票。
「彼は2度も不正解をした」
「彼女はBankの機会を逃した」
だからこの輪の中では不必要。
同票で弱者がタイなら、統計学的強者が最終決断を下す。
その強者すら他者からライバル視されれば抹殺される事もある。
これを評価主義会社の縮図としてみよう。
会社の利益UPの為にチームワークは必要。
しかし個人的に出世を企むならチームの足を引っ張る弱者は不要、ライバルはいざとなれば蹴落とす。
そして好業績は私一人が貰って行きます。
ということになる。
そんな部下の評価具合をふ〜んと客観視し、印籠をかざすボスこそ司会者Robinsonだ。
”Queen of mean”、”Anne-Doroid”との異名をもつAnne Robinson。
この番組のKey要素は冷徹仮面をかぶり司会進行するRobinsonと言っても過言ではない。
かつて日本でも『The Weakest Link』を放送した。
その時の司会者は伊東四朗さんだった。
テレビッコは四朗さんの芸事に対する厳しさをてんぷくトリオ、「電線音頭」のベンジャミン伊東時代より尊敬している。
師の博識の高さも重々承知の上で陳情する。
残念ながら四朗さんでは優しすぎるのだ。
アンドロイドのごとく無機質に質問し、参加者の私生活トークを寸断しようとも
「で、誰がWeakest Link?」とするりと冷徹仮面 Robinsonに変身する、
彼女あってこその『Weakest Link』。
1967年Daily Mailで最も若い女性レポーターとされるも、当時の業界はまだまだ男性社会。
ガラスの天井なんのその、浴びる程酒を飲み、人生の辛辣を舐め尽くした彼女だからあの名台詞をサラリと言えるのだろう。
そんな過去を知ってかRobinsonは昨年度、怖いTVプレゼンター2位に選ばれたそうな。(1位はGordon Ramsay)
「You are The Weakest Link, goodbye!」現実社会では聞きたくもないね。